京の絵師、吉田初三郎の鳥瞰図の紹介~星野リゾートの源流~

吉田初三郎は京都に生まれ、各地の鳥瞰図を手掛け、大正の広重とも言われました。また歴彩館では彼の作品を多く所蔵し、このサイトで画像を公開しています。それらの鳥瞰図には百貨店や旅館の依頼に応じて作成されたものもあります。

今回紹介する鳥瞰図もその一つで、「星野リゾート」の前身の旅館、軽井沢にあった星野温泉旅館の依頼による鳥瞰図『星野温泉』です。

初三郎の鳥瞰図はU字型に湾曲して描くのが特徴です。この図では中央に浅間山と注文者の星野温泉旅館が大きく描かれ、軽井沢や遠くには東京の文字も見えます。
中央の本館の下には「テニスコート」や「発電所」、「観月台」などの表記も見え、様々な施設が設置されています。

またその周りには別荘地が広がっているようで、「朝香宮別邸」の記載もあります。主要な施設や駅名は英語名も併記され、外国からの観光客も意識しています。

地図の裏面には施設案内や周辺の観光案内が載っています。

これを見ると旅館には温泉が2種類あり、旅館内には医師が常駐していると宣伝しています。長期滞在者を想定していたのか、別荘地の分譲や貸別荘も用意していると書かれています。
昭和初め頃の軽井沢の様子が分かる鳥観図、皆様もぜひご覧ください。