鉄道ファンの方なら「知っているよ」とおっしゃるかもしれませんが、皆さんはこの一枚の写真をご覧になって何か違和感がありませんか?
「市電(四条大橋)」(石井行昌写真資料 No.183)
タイトルどおり市電が四条大橋に開通し祝福ムードが伺えます。でもチョット待ってください。
橋の上の様子をよく見てみると、電車が通る軌道の部分は完成していますが、その傍らには資材が積まれ、まだまだ工事中という様相で、人が歩いて渡る事ができる状況には見えません。
この状況を説明する資料が当館に所蔵されています。その一節を引用させて頂きます。
「四条大橋は、橋梁の竣工をまたずに大正元年12月25日に電車が開通し、貴賓車を連ねて渡りぞめが行われ、センターポールには万国旗やちょうちんが飾られて、花電車も走った。」
『さよなら京都市電 83年の歩み(京都市交通局発行)』より
写真はこの説明から大正元年12月25日撮影と分かり、橋の軌道敷き部分に壁を作って先行して電車を開通させた様子がそのまま写しだされています。