物としての写真資料

資料ガイド「写真資料のガラス原板」では、「AGFA」の文字の入るガラス原板を紹介しました。このように、写真資料には被写体として何が写っているかというだけでなく、物としての価値もあります。

19世紀後半、写真の普及し始めたころには、小さな桐箱に入ったガラス板の写真が登場しました。これは湿板写真で、そのままではネガ像(陰画)ですが、裏面に黒色を塗布することでポジ像(陽画)として見ることができます。それを観賞用兼保存用として桐箱に入れました。箱の蓋の表や裏などに、撮影年や被写体の人名などが墨書されることもあり、それも大事な情報になります。

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黒川翠山撮影写真資料の題名について

黒川翠山撮影写真資料に含まれる個々の写真の題名(作品名)は、寄贈された後に当館での整理時に付けたものです。

翠山が写真のすべてに最初から題名を付けていたとは思えませんし、整理時にすべての写真について発表時の題名等を調べたわけではありません。そのため、翠山が撮影時に意識した狙いが伝わらなくなっているもの、別の印象を与えているものがあるかもしれません。

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黒川翠山・石井行昌撮影写真資料の複写写真

当館の黒川翠山撮影写真資料は、写真家の黒川翠山が撮影したものですが、一部に複写した写真も含まれています。1443番の「轜車(じしゃ)」 (柩車)は、『明治天皇御大喪儀写真帖』*1(1912年(大正元)刊)に載るものと同一で、そこには「陸地測量部撮影」と書かれていました。

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