万葉集(古活字版)と田中尚房の紹介

今年は5月1日の新天皇の即位に伴い元号が変わります。それに先立って、4月1日には新元号「令和」が発表されました。

「令和」の文字は、『万葉集』巻五「梅花歌三十二首并序」の序文にある「于時初春月 氣淑風」から採られました。
漢籍ではなく初めて日本の古典から選定されたということでも話題となりました。
この序文は天平2(730)年、大宰府の長官である大伴旅人(おおとものたびと)が、自身の邸宅で催した宴の様子を表しており、「梅花の宴」とも呼ばれています。

新元号の出典元となった万葉集ですが、歴彩館では古活字版無訓点本の『万葉集』を所蔵しています。
この万葉集は幕末~明治期の有職故実家(ゆうそくこじつか)で北野神社の宮司も務めた、田中尚房(たなかなおふさ)が所蔵していた資料です。

この資料を田中は相当読み込んだようで、ほぼ全文に読みと訓点がつけられ、書き込みも豊富で大きな付箋が付いているページもあります。

第1巻本文冒頭部分

当館には他にも『北野神社由来記』や代表的著作である『歴世服飾考(れきせいふくしょくこう)』の自筆稿本等も所蔵しており、当アーカイブにて公開しています。